海について知ろう

海と陸

海と陸の境はどこか

家の敷地と家の敷地の間には境があり、市町村同士の境、県の境、また国と国の境、すなわち国境ですが、このように様々な境界があります。
それでは海と陸の境はどこになるのでしょう。この境のことを「海岸線」と言いますが、海岸線を決めるのは何なのでしょうか。
海岸線には常に波があり、潮が満ちたり干いたりしてますから、水のあるところと陸との境界は絶えず変わっています。
そこで日本の海図では、海岸線を「略最高高潮面」(ほぼさいこうこうちょうめん)という所を海と陸の境目にしています。略最高高潮面というのは、その場所の年間を通しての満潮を観察して、もうこれ以上には海水が上がって来ないであろうと考えられる海面のことです。
一方、国にとって重要な領域を決める基準となる線は、満潮とは反対の低潮の時、即ち、もうこれ以上には海水が干かないと考えられる海面、「略最低低潮面」(ほぼさいていていちょうめん)が領海を決める基準となるのです。これを「低潮線」または「干出線」と言っています。この低潮線と海岸線との間には、満潮の時には海になり、低潮の時は陸になる干出部があることになり、領海を決める基準線は、通常は海の中にあることになります。
このような大切な基準を決める潮の満ち干きの観測のため、日本全国の海岸に験潮所が設置されています。
新潟県の粟島には、第九管区海上保安本部が管理する験潮所があり毎日観測を続けています。

海岸線の長さ

日本は周りを海に囲まれた島国です。では、日本の海岸線はどのくらいあるのでしょう。
日本国の海岸線の長さは、およそ3万キロメートル、正確には33,889キロメートルもあります。地球1周が約40,000キロメートルですからその長さが想像できるでしょう。
全国47都道府県の中で長い海岸線を持っているベスト3は
1位北海道4,377キロメートル
2位長崎県4,137キロメートル
3位鹿児島県2,722キロメートル
長崎県が2番目とは意外に思われますが、これは対馬や五島列島などの多数の島があることと、海岸線が複雑に入り組んでいるからなのです。

海の深さ

海岸線の長さ

地球の表面積の70パーセントは海です。その平均の深さは4,750メートルです。水深3千メートルから6千メートルの深さの海が全体の76パーセントを占めます。7千メートルの深さを越す海は全体の千分の1にしかすぎません。
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/sodan/mame/hukasa/hukasakizyun.htm
(第九管区海上保安本部ホームページより)

世界で一番深い海

フイリピンの東方数千キロ沖にあるマリアナ海溝の中に、チャレンジャー海淵(かいえん)があります。海上保安庁水路部の測量船「拓洋」(たくよう)がこの場所で10,920mの水深を測りました。なお、海の深さは音波を使って測ります。

海流

海流って?

広い海をつねに一定方向に流れる大きな流れを海流といいます。海に海流が存在することは古くから流木などの漂流物によって知られていました。海流には表層の流れと深層の流れがあります。表層の海流のエネルギーの90%は、それぞれの地方や地域で特定の季節にひんぱんに現れる風から供給されています。
例えば南・北赤道海流には貿易風が、北太平洋海流や北大西洋海流には偏西風の力が作用しており、その流路や流速にある程度の季節的変化や一時的な変化はあるものの、海流の運動が大きく変わることはありません。

リップカレント

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/sodan/mame/nagare/riganryuu.htm
(第九管区海上保安本部ホームページより)

海からの贈り物

冬を迎え季節風が吹き出すと日本海は時化(しけ)が続き、穏やかな海の日は夏に比べるとわずかに10分の1程度にへってしまいます。
海の荒れた日が続いた海岸には、いろいろな物が打ち上げられているのが見られます。日本海ではまれにしか見られない、熱帯性の魚のハリセンボンやネズミフグあるいは亜熱帯の植物のグンバイヒルガオやココヤシなどが流れ着いたという報告がされています。
これらの熱帯性の魚や植物は、夏から秋にかけて対馬暖流が最も強く流入する時期に、遠く南方から海流によって運ばれ、それが風によって浜辺に打ち上げられたものなのです。
対馬暖流は南の国から珍しい贈り物を運ぶ一方、日本海沿岸にもう一つ贈り物を運んできます。それは多量の雪です。シベリアあたりから吹き込む冷たい季節風が日本海を渡るとき、海面から立ち昇る大量の水蒸気を取り込み、それが日本列島の山々にあたって雪を降らせるのです。